ロゴの作り方 株式会社ポペルカ 前編 ヒアリングから提案まで

ロゴデザイン

 

ロゴの作り方「株式会社ポペルカ」の前編です。

 

今回は、またいつもとは違った制作プロセスになりました。

 

株式会社ポペルカとは、僕がクリエイティブディレクターとして就任しているレディオブック株式会社の経理、みきしぃさんが起業した会社。

株式会社ポペルカの事業内容は、自身の整形の実体験を活かした整形・美容に関するサービスの展開。容姿にコンプレックスを抱えている人の人生を変える手助けをしていきたいとのこと。

みきしぃさんは、自身の整形体験をツイッターやnoteで赤裸々に発信しており、大きな反響を呼んでいる。いやぁ、そうですよね。ほんとに整形で見た目が大きく変わった。本人も言っていたけど「ここまで振り幅のある人」はあまり見たことない。

これまでに何度もロゴの制作をNASUアシスタントと一緒にやってきているが、この「ロゴの作り方」の記事で初めて、アシスタントの吉田とのやりとりを全公開していきます。ひとりでデザインするものとまた違ったものになってるので最後まで読んでほしい!

このロゴ制作におけるすべてのやり取りはTwitter上で行い、吉田が作った案に対して僕がフィードバックをしている。Twitterでは、鬼フィードバック®シリーズとして一部始終を見ていただくとして、この記事では「ロゴの作り方」編として再構成し、前編後編の2本に分けてお届けします。今回は、前編ヒアリングから提案まで。

 

まずは、完成したロゴから紹介します。

 

 

どうでしょう。美容整形の事業をする会社っぽくはない、不思議なロゴが生まれました。

 

 

株式会社ポペルカについて


いつもどおり、ロゴ制作はヒアリングから!代表のみきしぃさんにヒアリングを行った。

株式会社ポペルカの「ポペルカ」はチェコ語で「シンデレラ」を表し、シンデレラストーリーの意味を込めて社名にしたとのこと。

株式会社ポペルカの具体的なサービスは、美容整形のカウンセリング、クリニックの紹介、整形費用にかかるローンの支援。株式会社ポペルカが既存の美容整形をアップデートする。

 

「整形は後ろめたいこと」これは非常に厄介な価値観です。この価値観のせいで、結婚相手に打ち明けられない、子供を産むのが怖い、周囲や子供に昔の写真を出せないなど嘘に嘘を重ね、ずっと本人が「持たなくていい罪の意識」を持ってしまっていることが問題なのです。


引用元:「整形が認められる世界」を作ります(みきしぃさんのnote)


みきしぃさんは「日本の整形の価値を変える」取り組みをしているので、いわゆる美容整形で検索してでてくるビジュアルとは違う方向にしたいという意向があった。すごく良い考え方だと思った。

 

 

整形は幸せになるための手段。整形で人生が変わったみきしぃさん自身が広告塔となり、メディア露出を増やしていく。そのため、みきしぃさんのキャラクターや思想が前面にでているロゴがいいと考えた。今回のゴールは、みきしぃさんの価値を最大化するブランディングをすること。

 

 

ロゴの案出し(前田→吉田)

まずは、ヒアリングを受けたあと僕がどう考えているかを吉田に伝え、手描きラフで出せるだけ案を出してもらった。この段階では考え方が大事で、造形的なクオリティはどうでもいい。

 

ラフにはないが、吉田はほかに「学校」や「ショップ」の案も考えていた。

だが、考えていたほとんどの切り口がポペルカじゃなくても当てはまる切り口で、当てはまるのはマスコットくらいだった。(みきしぃさんがマスコットとしで前面に出ていくことを見据えているため。)

案出しを連想ゲームにしてしまうのは駆け出しデザイナーのあるある。仕事は学校の課題ではない。例えば、シンデレラという切り口はモチーフを選んだにすぎない。シンデレラを受け手に感じさせることでどういうことが起こるのか。「みきしぃの会社、ポペルカをどう見られたいか?」というのを意識すべき。「切り口の先にある受け手にどう感じさせたいか?」の意識や狙いの設計が必要になってくる。

このタイミングで指標を作るために僕もラフを描いた。

前田が書いたラフ

 

今回の「目的」は整形のイメージを変えるためのロゴであり、前に立っていく代表のみきしぃの魅力を最大化させるのが「ゴール」

・美容整形から離れる
・敷居を下げる
・整形との距離感
・みきしぃを立たせる
・みきしぃマインド広める など

 

吉田が作っていた案を見て、意味付け、メッセージからロゴを作るのは違うと気がついた。

 

「ロゴの作り方」は状況や相手によって臨機応変に対応させる。

 

今回はとにかく、形のおもしろいもの、かっこいいもの、魅力的なものを探そう。

 

 

「ポペルカ」のフォルムだけ追い求めてもらう(前田→吉田)


切り口は僕が考えるので、吉田には「何も考えず面白い形を目指して欲しい」と再び指示した。出てきた案はこちら。

 

何も考えず「かわいいタイプ」、「マーク」、「マスコット」の案を出してほしいと伝えたが、まだどこか考えすぎていて固い。バリエーションの数が出せていない。

 

吉田
私は切り口の選択肢に繋がるような、かわいい形を何も考えずに出していく役割だと分かってはいましたが、実際は株式会社ポペルカにふさわしいロゴの方向性を考えていて、思考を制約した案を出してしまっていました。

 

何も考えずに形を出すのは難しいのかもしれないが、もう一度チャレンジしてもらった。

 

 

もう一度フォルムを求めて案を出してもらう(前田→吉田)


だいぶよくなってきた! 赤丸をしている案が、僕がいいと思った形。

 

最初に比べてかなりよくなってきたが、「こういう案をもう少しスピードを上げて出してほしい」と指示した。

そしたらなんと1時間に20個のペースで考えていた。すぐに対応するのが彼女の素晴らしいところ。

 

数を出す必要があるとき、考えていてはなかなかできない。

 

ロゴを考えないためには数を多く出すのは必要な作業だった。

 

1時間に20個のペースで案出し(吉田)

 

吉田
「思考を制約してしまっているからいい案を逃しているのかもしれない。変な形でもいいから、むしろ整形のイメージを変えるために今までにない形を模索しよう」と思考が変化して、徐々に初日とは違う形が出てきました。

 

 

方向性を確認(前田、吉田)

 

案の数がかなり出たので、吉田と方向性の確認の打ち合わせをした。今回は打ち合わせも初めてTwitterでライブ配信した。

以下、動画で話した内容です。

ロゴデザインするときは案件によって作り方を変えるけど、今回は形から入り、後付けでロゴに意味をつけていきたい。

なんでかと言うと、株式会社ポペルカは整形の会社で、かつ整形のイメージを変えたいのでロゴも整形っぽいイメージじゃない方がいい。整形のイメージから離れ、囚われないようにするためにはロゴとして形が面白い、いけてる、アートだというところから探って、後で意味をのっけていくほうがいいから。

それにポペルカは、響きの良さから社名を採用したと思うので、ロゴも響きから入るやり方がいい。ポペルカの響きの良さはカタカナじゃないと出ないからカタカナでロゴを作りたい。

吉田は論理的にロゴを作っていたけど途中から考え方を変えて良くなった。

今後の工程は手描きラフの良さをそのままに、イラストレーターでロゴを作ってほしい。それを並べて検討したい。

 

 

僕がいいと感じた「みきしぃらしい」魅力的な形の手描きラフを、1枚の紙にまとめ直してもらった。

それをイラストレーターデータに起こしてもらったのだけど……正直、手書きのラフの時の方がよかった。

 

 

手書きのラフの時の良さを損なわないように、赤丸を付けた以下6案のクオリティを上げてもらうよう指示した。

 

 

 

ロゴのブラッシュアップ(1回目)

 

赤丸を付けた案をブラッシュアップしてもらったもの。

A案

吉田
書き起こし時より墨だまりを多くして固い感じよりきらっとしたリズムが生まれるように調整しました。1文字1文字正方形の塊にみえるので正方形内でバランスを調整しました。
前田
形を考えすぎている、揃えなくてもいい。書き起こし時の方が良かった。

 

B案

吉田
〜と読めるか読めないかぐらいの表現がポイントだと思うので、活かしたままパーツの使い方と配置を見直しました。
前田
形は活かしながら読めるように調整してほしい。

 

C案

吉田
書き起こし時に線がつまらなくなった気がして、手書きの曲線感を復活させました。ポの◯をポにグループ化するか、ぺ寄りにするとキャラクターっぽいゆるさもでると思いました。
前田
キャラクターっぽく見えるのはいいけど、手書きラフの字体の方が味があって良かった。

C案手書きラフ

 

D案

吉田
パーツのルールとバランスの見直し、字の繋げ方が汚かったので改善しました。

 

 

E案

吉田
手書きのときは特に考えずポの右側の払いを特殊な形にしてたのですが、ここは活かしでしょうか。形は活かしたままポとぺの見え方を調整しました。
前田
既視感のない魅力的な形を探していて、思考を入れず造形案を出すよう指示した狙いどおり、D、E案は特に考えて作っていない感じがいい。

 

F案

吉田
ぺがウに見えそうなので改善と、カーブの曲がり方や広さ、4文字のまとまりを整えました。
前田
F案は思考が入っていると感じたが、既視感のない面白い感じになっていたので可能性を感じて一旦残した。少しでも可能性を感じたら残すようにしている。

 

追加で紫で丸をした、この案も復活させた。

 

Twitter上で見たらその良さに気づかなかったけど、事務所でプリントアウトされたものを見たら違って見えた。ずば抜けて魅力は感じなかったけどちょっとよかったから復活させた。“ちょっと”でも可能性を感じたら残すようにしている。

 

この7案のロゴをさらにブラッシュアップする。

 

ロゴのブラッシュアップ(2回目)

僕のフィードバックを元に修正してもらった。

 

A案

吉田
書き起こし時から活かしたまま整えました。

 

B案

吉田
〜の軌跡は残しつつ、読めるように区切ってみて調整しましたがいかがでしょうか?

 

C案

吉田
こちらも書き起こし時から活かして整えました。

 

復活させたG案

吉田
復活した案です。ルだけ半円の使い方が気になったのでパーツの場所を変えてバランス調整しました。

 

ロゴのブラッシュアップ(3回目)


さらに僕がデータに赤入れをして、ブラッシュアップをお願いした。朱書きが僕の指示で矢印の下の画像が、吉田が直したもの。

 

A案

 

B案

 

C案

 

D案

 

E案

 

G案

 

いい形になってきた!

 

提案資料を作成するにおいて、実際に使用されている場面をイメージして検証した。検証はリアルにイメージをすることではかどる。近い将来、メディアに露出しているみきしぃさん、名刺交換をしているみきしぃさんをリアルに想像すると似合う似合わないがわかってくる。

 

「ポペルカ」とわかりやすく読めると知性を感じない。だから、みきしぃさんのイメージとは違うな?とか、彼女は堂々とした強さを感じるので、線が細い・女性らしすぎるのも違うな?とか。

感覚的なところなので、全てを言語化するのが難しいのだけど、アニメやゲームのタイトルのようなJAPANカルチャーの匂いがする方が「らしさ」ということがわかった。

 

 

いよいよ、提案資料の作成に入る。

 

 

ロゴの提案(前田)

吉田がブラッシュアップしたロゴデータを僕が資料に落とし込んで提案した。こちらが実際の提案資料の一部です。

 

 

 

 

ジャジャーン!

 

さらに、ロゴと一緒にこんな提案をした。

 

 

 

アニメーションだ。

地面に潜って、出てくる。整形をして“変わる”を端的にかわいくフレンドリーに表現するのにアニメがちょうどいい。

 

みきしぃさんがキャラクターに「癒しを求める」というのを聞いていたので、どこかでキャラクターをいれたかった。

ちなみに、この時はロゴタイプの可読性が弱かったので、“popelka”と英語表記を入れている。

 

 

提案資料の全貌は、こちらのURLから見ることができます。

株式会社ポペルカロゴデザイン提案資料

 

 

今回のロゴは、いわばアニメやゲームのタイトルで、代表のみきしぃさんはその主人公。

このコンセプトに一番マッチしているものがE案だった。みきしぃさんに一番似合っているロゴが一番いい。先ほど書いた通り、「ポペルカ」とわかりやすく読めると知性を感じないらみきしぃさんのイメージとは違う。みきしぃさんからは堂々とした強さを感じるので線が細い女性らしすぎるのも違う、コミカルすぎるのも違う。

「ポペルカ」という呪文のような謎めいた感じ、かわいらしさ、強くかっこいいイメージ。魔法世界のアニメのタイトルをイメージしていたからおすすめはE案にした。

 

整形のイメージを変えていくなら整形っぽさから離れるべきだし、みきしぃさんが整形の価値のエビデンス。企業っぽくせず、みきしぃにスポットライトを当てるロゴはE案だと考えた。

 

 

提案の結果、E案でGOが出た。

 

みきしぃさん、レディオブックの板垣雄吾さんから「E案がいいと思っていたのでオススメされたのがまさにそれで驚きました」と言ってもらった。ここから、さらにロゴの完成度をあげていく。ロゴデザインとは、志であり長く使って欲しい。だからこそ、細かい検証を重ね耐久性のあるロゴを目指します。

 

 

長くなったので、ここから先は後編にまとめます。お楽しみに。

 

 

 

 

 

構成・編集:山下桃音
監修:浜田綾

 

運営中のコミュニティで新メンバーを募集しています!