LINEスタンプで人気の「うさぎ帝国」。
この作者さんであるendoさんの会社「株式会社えんどろーる」のロゴデザインのプロセスをすべて公開する。
完成したロゴがこちら。

「うさぎ帝国」とは、イラストレーターendoさんが制作しているキャラクター。

(うさぎ帝国のTwitterアカウントカバー画像をお借りしました。)
LINEスタンプから人気に火が付き、今やグッズ販売、個展の開催、図録集の発売までしている大人気キャラクター。歌まであるらしい。その作者であるendoさんが法人化することになり、「前田さんにロゴをデザインして欲しい」と連絡をもらった。
endoさんとの出会い
endoさんとの出会いは、彼女が僕のオンラインサロン「前田デザイン室」に入ってきてくれたことがきっかけ。ちなみに宇野常寛さんの番組「HANGOUT PLUS」に出演させてもらった回を見て、僕のことを知ってくれたらしい。
うさぎ帝国endoさんは、宇野常寛さんの番組で僕を知って前田デザイン室に入ってくれた。これもオンラインサロンでつながった信用。PLANETS CLUBで宇野さんLINEスタンプも制作中らしいよ。
【無料部分】〈HANGOUT PLUS〉前田高志×宇野常寛 モノのようにコトをデザインする https://t.co/G8oeLbwVsO
— まえだたかし (@DESIGN_NASU) March 23, 2019
前田デザイン室に入った時の彼女は、ただ「フリーのイラストレーターです。ゆるいキャラクターイラストを描いており、LINEスタンプ、グッズ展開、イベント出展などをメインに活動しています。」と自己紹介していた。人気キャラクターの作者であることを思えば、謙虚すぎる自己紹介だった。endoさんと言えば、今年の1月に前田デザイン室に入り、その月の定例会での出来事が強烈に印象に残っている。はあちゅうさんのサロンとの合同定例会で、本の装丁をメインに話をする会だったので、僕が
- 板垣雄吾さんという人の本のデザインをやっていること
- 本のタイトルが『やりたくないことはやらなくていい』だということ
- 「やりやらおじさん」のようなキャラクターを作ろうかと考えていること
という話をした。
ぼくの装丁の話をしてるなう
#はあちゅう前デ#やりやら pic.twitter.com/i5zVw9J67T
— 板垣雄吾®️カッコいいスマホ修理屋をつくる (@yugo_itagaki) January 30, 2019
すると、その定例会の終わりに僕に声をかけてくれて、僕が話をしたばかりの「やりやらおじさん」のアイデアをすぐさま形にしてくれた。
そして誕生した「やりたくないおじさん」 pic.twitter.com/iK24mz2PXS
— endo(うさぎ帝国の国王さま) (@USATEI_endo) January 30, 2019
アイデアを汲み取ってすぐ形にする力、動き方、さすがは人気イラストレーターさん。その早さとクオリティに圧倒されたことを今でも覚えている。ちなみにこのイラストは著者の板垣さんが大変気に入ったので、前田デザイン室でプロジェクト化しLINEスタンプとして作ることになった。担当編集の幻冬舎の片野さんには「ビジネス書と発売同時にLINEスタンプが出るってもしかしたら国内初かもしれない」とまで言っていた。今は前田デザイン室を退会しているけれど、endoさんは前田デザイン室に大きな足跡を残した。
Step1:情報の整理

さて、そんなendoさんからのロゴ依頼なのだが、実を言うと最初は少し戸惑った。彼女はデザインもできるし、世界観もある。ファンもいる。「僕がデザインしていいのかな?」というのが正直あった。話を聞いて見ると、本人も自分で作ろうとしてたけど制作時間がない。どうせならプロに。「前田さんにお願いしたい」ということで僕にオファーが来た。正直僕もスケジュール的に厳しかったけど、いちクリエイターとしてとても光栄なことなのでガチンコでendoさんとやろうと考えた。
endoさんにヒアリングをする
ロゴを作るにあたり、endoさんにいくつかヒアリングした内容は以下のとおり。デザインの答えはすべて“ヒアリング”にある。
・「えんどろーる」の名前の由来は?
endoさん:
「人生のエンドロールに載せられるような仕事をしていく」という意図です!死ぬときに「これが私の人生のエンドロールだ!」って言えるような。あとは、人間は遅かれ早かれ死ぬので、そのことを忘れずに終わりを意識した生き方をしていきたい、というのもあります。「今がいちばん若い!なんでもできる!」という前向きな生き方よりも、「どうせ死ぬことはわかっているのに、それでも生きるのはなぜか?やるべきことはなんなのか?」ということを考えていたいのです。私の生き方のポリシーでもあります🐰
・具体的にイメージしているもの、キーワードは?
endoさん:
昭和邦画のタイトル。例えば「ゴジラ」みたいな。ゴツゴツした荒々しいロゴ。
![]()
wikipediaより引用
・色のイメージはありますか?
endoさん:
色は使いたくないです。「白と黒」がいい。色を使うとしたら、ドラえもんのタイムマシンのようないろんな色が混ざったカオスな感じ。
ヒアリングを通して前田の所感:
キーワードは、
・雑草魂
・力強さ
・endo-roll
・転がって生きていく
・百姓
エンド感。終わりの悲しく刹那な感じにする方が、endoさん的には機能する。でもゴジラのようなという依頼は、荒々しさ、力強さを求められていて矛盾している気もする。おそらくendoさんの中で映画のエンドロールが悲しいと感じたことがあるからかもしれない。(もちろんダジャレもあるが)映画=昭和の邦画なんだろう。「終わり」「終わった」文字通りendを打ち出していく。
また「うさぎ帝国」以外にも、コンテンツを生み出していく「えんどろーる」は他のコンテンツが引っ張られないように色を使わない。終わり感を出すにはやっぱり「死」を想起させる、「黒」「白」がいいと思った。
Step2:ファーストラフ

「どういうロゴであるべきか」「何のためのロゴか」が明確になったのでファーストラフ。手描きでメモしながら、実際に使用される姿を想像しながら。時には何も考えず、ラフを描いた。
「えんどろーる」だから、映画のスクリーンのブラックボックスありだなぁ。「ブラックボックス」という呼び名もいいかも。「完」「おしまい」もせつないよね。
Step3:ひらがなのラフを作る

ラフの続き。「えんどろーる」さっきはカタカナをあえて作ったけど、オーダー通りひらがなで。やっぱりひらがなのほうがいい。そもそも何でひらがなにしたのかな?気になったので、このタイミングでendoさんに聞いてみる。
「感覚的にひらがながいいなと思ったんですけど、本来のエンドロールが持つ意味を見た目で中和させようとしたのかもしれません。」との回答があった。endoさん自身も肩の力が入り過ぎていない印象なので、ひらがなの方がいいのだろう。
Step:4 ラフの解像度を上げる

Step:5 提案書を作る
以下は、実際にendoさんに提出した提案書。さすがクリエイターさん。提案後にここまでのフィードバックもらったのは初めてだ。。提案書を見てendoさんからものすごく丁寧な回答をもらったので、合わせて掲載する。



