それは、デザイン案ではない。

デザインの力

 

この記事はNASU代表のまえだたかしのnoteにて公開されたものを転載しています。(一部加筆修正を行っております。)

 

NASU代表の前田です。

「デザイン提案」についてずっとモヤモヤしてることがあって、今回の「キヨ地下」のロゴ提案がちょうど伝わりやすい事例なのでご紹介させてください。ぜひ、若いデザイナーや学生に読んで欲しい。

結論からいうと「ロゴ案とは色や形の違いではない。」ということを訴えたい。

アソビカタサロンのオーナーのKiyoto(萩原清澄)さんが「キヨ地下」というサービスを始めた。一言でいうと「デパ地下グルメのECサイト版」。そのKiyotoさんバージョンなので「キヨ地下」だ。多方面から食に関して絶大な信頼をおかれているKiyotoさん。魅力的な商品ばかりが並んでいる。

「キヨ地下を始めます!」とTwitterで見かけた瞬間に、ズババッ!とビビッ!!ときた。すばらしいコンセプトと企画力、ネーミングだよね。「これ絶対良いデザインになるやん!」と僕のデザイナー嗅覚が反応した。すぐさま「ロゴデザインをやらせてください」と声をかけていた。

どれも本当においしそうなのよね…

Kiyotoさんも快諾してもらいロゴを作らせてもらうことになった。こういう場合はスピードが命。そのまま集中して、速攻でロゴ案を8案考えた。5時間フルに集中していた。コンセプトが明快だから死ぬほど作りやすい。僕の経験上、良いコンセプトからしか良いデザインは生まれない。

 

ここからが僕が伝えたいことだ。

 

ロゴ案は色や形の違いではなく、「コンセプト」の切り口がまったく違うものを提案すべきだ。

これが意外にもプロのデザイナーでもできてなかったりする。あなたは見た目のパターン違いのロゴで案の水増しをしていないだろうか?

 

以下、実際に提案した資料を公開します。(もちろん許可は得ています。)

 

 

「キヨ地下」ロゴデザイン提案書

 

A案 「新しい老舗」

未来の “ネットグルメ” の老舗。Kiyoto さんはネットグルメショップの第一人者になる。老舗っぽいけどモダンなハイセンスなもの。流行りといえば流行りの見せ方。

 

B案 「コンシェルジュ(ボウタイ)」

Kiyoto さん=サービスマン。 “食への信頼感と安心感” Kiyotoさんといえば、サービスマン。Kiyotosさんはそんな書籍を出版している。

 

C案 「≠(ノットイコール)他とは違う」

Kiyoto さんのチョイスは他では得られないもの。他との違いを強調する。

 

D案 「地下への入り口 ワクワク感」

Kiyoto さんの秘密の穴ぐらにはしごで降りていくワクワク感。

 

E案 「地下アジト(ひみつ基地)」

Kiyoto さんの秘密の穴ぐら おいしいは楽しい。キヨトの相棒「アジトくん」(正式に名前はペロチカくんになりました)

 

F案 「UNDERGROUND の「U」が舌というブランドマーク」

「舌マーク」将来的に、スタバやナイキ、マクドナルドのようにマークだけで認知させていく。

 

G案 「ひみつのグルメ倶楽部 ▶︎ 暗号文字にする」

知っているだけが知っている「キヨ地下」というのを暗号文字で演出。こういうトンがった案は必ず入れたい。

 

H案 「おいしい認定印「キヨ」のマーク」

“モンドセレクションは何にでもついている。「キヨ印」マークがついたほうが価値がある!” という展開を期待。マーク展開。

 

 

以上がkiyotoさんに提案した8案です。

 

プロのデザイナーは、安直なデザインパターンを作ってはいけない。

ロゴの形や色、書体で案を出しても何の意味もない。その選択をクライアントに委ねてはダメ。それはデザイナーの仕事だ。

 

逆に「コンセプト」を僕らデザイナーが選んではいけない。クライアントにしか選べない。決めるのは僕ではない。クライアントが「どうありたいか?」の志だから。提案する時にオススメは伝えるけどデザイナーが決めることではない。色や形、書体を決めるのはデザイナーの仕事だ。

 

ロゴの形や色、書体で提案書を作ってしまうと何が起こるか。「なんかこれ好き」「これ、かっこいいね」と選ぶ人の好みになってしまう。成したいことを成すために必要なデザイン。高額のデザインフィーを支払って、デートに着ていく洋服を選ぶノリで決めて良いのだろうか。

 

デザインは真剣勝負。クライアントが真剣に「どうありたいか?」で決めて欲しい。ここだけの話、高額のフィーは、選ぶ側にも(作る側にも)真剣さをもたらす作用がある。そういう意味では、なるべく高額のフィーで仕事がしたい。多数決で決めるのは好ましくない。コンセプトは人に決めてもらうものじゃない。最後は自分が決めるもので自分の志だから。そもそも、ロゴの形や色や書体を世の中ではデザインと呼ばれていること自体に違和感を感じる。

 

「キヨ地下」のロゴはTwitterで公開され、決定に至るまでを物語にした。それを見て人は巻き込まれていく。このあたりがKiyotoさんの天才的なところ。最初に4案を選んで、Twitterでアンケートをする。これを見た人は脳の中に「キヨ地下」が侵入する。少しでも「どれがいいかな?」って思った瞬間に侵入成功。たくさんの人が自分に関係のあるものになる。

 

最終的にこちらのロゴに決まった。裏話をすると、実はTwitterのアンケート取る前にKiyotoさんが「これかな?」と選んでいたものに決定している。これにはビビった。

 

そして、もう一つのロゴ案がキャラクターとして採用された!

キャラクターのペロチカくん

 

この「キヨ地下」というサービスをなぜKiyotoさんがやってるか?を聞いたことがある。「遠方でおいしい食があるのにみんなは知らない。これをみんなに届けたい。」というところから始まったそうだ。「キヨ地下」は会員制で、秘密のパスワードを知るものだけが購入できる。キヨ地下の会員には月額500円からなれます。毎月人気ですが、空きがあったらチャンスなのでぜひチェックしてみてください。こちら→ キヨ地下

 

と、いうことで、デザイン提案についての持論をようやく書けました。「色やフォントは、デザイン案ではない。」切り口で提案しましょう。

 

だからこそ、良いデザインへたどり着く可能性が増える

 

実は弊社NASUで餃子プロジェクトを進行中でして、Kiyotoさんにアドバイスをもらってます。うまくいけば「キヨ地下」でとりあつかってくれることが決定しています。

 

(追伸)クリエイター向けオンラインコミュニティの前田デザイン室ではこういった実際の仕事の提案資料や僕の考え方のコラム(この間数えたら200本くらいありました。)を惜しげも無く公開しています。前田デザイン室が満席の場合は、月初には入会できると思いますのでのぞいて見てください。

 

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