グラフィックデザイナー/アートディレクターの前田です。
夏休みが終わって、専門学校での授業が再開されました。
(授業終わりで今、図書室で書いています)
デザインの「技術」は教えられます。
だけど「考え方」や「センス」は、そう簡単にいかないと日々痛感しています。
いろんな人の考え方や、良いデザインに触れてインスパイアされ、自分の頭で考える。この繰り返しで、少しずつ育っていくものです。
僕もたくさん影響を受け考えてきました。
今回は、最も影響が大きかった人物
「ヨゼフ・ミューラー=ブロックマン」についてのお話です。
ヨゼフ・ミューラー=ブロックマンとは?

ヨゼフ・ミューラー・ブロックマン(1914〜1996年)は20世紀を代表するスイスのグラフィックデザイナーです。レイアウト技法である「グリッド・システム」を提唱したお方です。
グリッドというのは、格子状のガイドラインです。
グリッドシステムによる秩序が、「美」と「伝達機能」を生み出します。
実は、NASUのロゴもグリッドで作りました。

(ちなみに、縦横比は「黄金比」です。)
前田とブロックマンとの出会い
2001年、六本木の青山ブックセンターで出会ったこの本で、はじめて「ヨゼフ・ミューラー=ブロックマン」のことを知りました。

どうして東京の本屋さんかというと、CMの撮影等で東京に行くことが時々あって、「良いもめぐり」をよくしてたんです。本屋さんとかお店めぐりです。当時、大阪でデザイン書籍が豊富なところってあまりなかったんです。撮影が遅くなって、ホテルに泊らず朝まで本屋にかじりついていたこともあります。そこで見つけました。


そう思って、この頃、毎日この本を眺めてうっとりしていました。
僕の屋号を決める時、候補に「Brock」とか「Brockman」がありました。先生にあやかろうかと思って。

ブロックマンを知れるおすすめの本
僕が持ってる本はもう売ってないみたいですが、アマゾンで検索すると代表的な本が2冊でてきます。
(両方とも洋書です。)
グリッドシステムについて書かれた名著です。(アマゾンリンクです)

ミュラーブロックマンの作品集(アマゾンリンクです)

ブロックマンの作品
ヨゼフ・ミューラー=ブロックマンの代表的な作品を集めてみました。






ブロックマンは、なにがすごいのか?
間の取り方
間の空間の取り方が、大胆かつシンプル。目に刺さるようなインパクトがあります。
ぼくはブロックマンを知った以降、スイスグラフィックやドイツのデザインにすごく興味を持ちはじめ、たどり着いた朗文堂 でこんな本を買いました。

Heidelbergというドイツの世界的メーカーの本です。
この本を注文してすぐ朗文堂の片塩二郎さんという人から、なぜか突然電話がかかってきて1時間くらいタイポグラフィに関して話しました。
後から知ったのですが、片塩さんはタイポグラフィの研究者でたくさん著書も出されていて業界で有名な方みたいです!!
その人との話で、今でも忘れられない印象的な話があります。
「お寺はタイポグラフィだ。」「スイスやドイツの若いデザイナーは京都のお寺を見に来る。」

目からウロコでした。
毎日、京都に通ってたので見方が変わりました。
間が生み出す、抜けの良さ。
ぼくはブロックマンの「抜けの良さ」がすごく好きです。
「抜け」ってわかりますか?
言葉で説明するのが難しいのですが、地平線や水辺線の気持ち良さに似てるかもしれません。「奥行きがあること」。狭いところと広いところがメリハリが効いていて、「空間を感じさせていること」。それが抜けの良さだと思います。

まとめ
良質なものからインスピレーションを受けて、「何が良いのか」を考え続けることでデザイナーは成長します。僕が20代のはじめに衝撃を受けたヨゼフ・ミューラー=ブロックマン。「間と抜け」。気持ち良いバランス感覚はこれからも大事にしていきたい。
これからも良いものと出会い、考える。
ずっとこれを繰り返し、デザイナーとして成長していきたい。